おっさん天国 物欲の泉

日々物欲にまみれ、煩悩の海に溺れて暮らすおっさんがおススメしたい、あんな物・こんな事をご紹介いたします。

YMOグリークシアターでのライブ

 

 

 

このライブ映像、ファンなら必ず一度は見たことがあるはずで、エピソードなんかも含めて、あちこちで語り尽くされた感があります。ですから今更自分が解説をする必要もないとは思いますが、個人的な思い出話なんかを交えながらいろいろ書いてみようと思います。

 

まずこのライブは1979年ロサンゼルスのグリークシアター(野外)での演奏です。アメリカのバンド《チューブス》(日本のバンドチューブではない)の前座として彼らは出演しました。

本来前座ってのはメインの人達が出るまでのつなぎというか、場を温めておくためのもの、或いはデビュー間もないバンドの宣伝としてやるものです。なので普通アンコールはやりません。YMOも当初はプロモーション的な意味での出演したのですが、この時のパフォーマンスが思ってた以上にウケてしまい、前座にもかかわらずアンコールをやってしまったという伝説のライブです。そんでそのことが後から《過剰に》日本へ伝わり、それまでまったく無名であったYMOの人気が一気に爆発するワケです

このライブを生で見たのは、ほとんどがチューブスを見に来た人達で、そこで偶然YMOというワケのわからない日本のバンドに出くわしたという感じでしょう。その時のライブが40年経った今、歴史的な映像として全世界の人達から認識されることになろうとは、その人たちはたぶんこれっちポッチも考えてなかったんだろうなぁ、なんて考えるとなんか面白いものがあります。ちなみにこのあと演奏するチューブスのメンバーは「やりづれーよ(意訳)」と思ってたみたいですよ、当たり前ですが。

 

で、この動画を見ている二人はちょっと勘違いしているので、ちょっと補足しときますが、後列真ん中で後ろ向きに座っている人は松武秀樹さんで、要するプログラマーのハシリみたいな人です。彼がいじっているのはコンピューターではなく、MOOGⅢCというシンセサイザーです(通称タンス)。あんなにデカいのに実は単音しか出ません。要するコードとか弾けないんです。まっ、その分音作りの自由度は高いんですけど。そのMOOGの右側に置いてあるのが、ローランドのMC8っていうコンピューター。白い箱みたいなの。 これ一台で大衆車が一台買えるというほど高価なものでした。今じゃあ任天堂DSでもっと高度なことが出来るので、そう考えると科学の進歩って凄いなぁと今更ながら思います。

尚、この頃のMC8のデータの保存はカセットテープ(!)で、一曲のデータを取り出すのに3分くらいかかりました。ですから初期のYMOではコンピューターと同期する曲と生演奏を交互に混ぜて演奏し、生演奏をしている間にコンピューターのデーターをロードするなんてことをしていたようです。たま〜にそのカセットテープを見て、カセットの音を流してるって誤解する人がいたようですけど、それは間違いで、今で言うSDカードみたいなもんだと思えばだいたいOKです。

とにかくYMOというと、コンピューターとの自動演奏云々ってところばかりが強調されがちですけど、実は生演奏でも充分観客を満足させるだけのテクニックがあるプロフェッショナルな人達だったんですね。

 ちなみにこの頃のコンピューターは非常にデリケートで、ステージの照明の熱で暴走を始めたり、データが消えてしまうという、今では考えられないトラブルがちょいちょいあったようで、別の音源では本来コンピューターがやるところがトラブルで鳴らなくなってしまい、人力のみで演奏しているものが残されてます。メーカー(ローランド)の人に言わせると「まさかライブで使うとは思わなかった。」らしいです。まあ普通は空調の効いたスタジオで使うものですからね。

 

私がこの演奏を初めて見たのは、確か中2〜3ぐらいだったと記憶しております。当時、すみや(静岡の家電・楽器販売店)で、この時の演奏とNYでのライブの入ったプロモーション用のビデオ(笑)を流していて、それを見てどうしてもそのビデオが欲しくなり、店員さんに無理を言ってダビングしてもらいました。確かちょっとだけお金を取られたような・・・もうそれ以降本当に擦り切れるほど見ましたよ。

 

それにしても・・・40年以上前の映像を、その頃この世にカケラも存在していなかった二人の外人さんが見て、「オー!」なんてリアクションしているのって何かスゲーなぁって思います。しかも今見ても演奏がカッコいい。余計な演出とか舞台装置なしに、演奏だけで満足させるっていうのはなかなかに凄いことだと思うんですよね。

それとどうしてもメロディを弾いてる坂本龍一さんとか、ギターの渡辺香津美さんとかに目がいってしまいがちですけど、リズム隊がいいんですよね。基本ジャストなんですが、そこはそれ、やっぱり人間が作るリズムってのはグルーブ感があって聴いてて気持ちがいいです。二人とも淡々とやっているようにみえますが。

 

 

あ〜予想した通り長い文章になってしまいました。次回はもうちょっと短くて《一般受け》することを書きたいと思います。それでは次回をお楽しみに。

 

バイなら!

 

 

こちらから(ほぼ)全部の演奏が見られます。

youtu.be