おっさん天国 物欲の泉

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本陣殺人事件

 


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横溝正史シリーズパート1の第二弾、『本陣殺人事件』をサクっと紹介しようと思います。とりあえずテレビの話はちょいと置いとくとして、まずは原作の方から話に入ろうかと思います。

 

 以前、拙HPの旅行記(の・ようなもの)にも書いたことがあるんですけど、原作の世界では『本陣殺人事件』が金田一耕助のデビュー作ということになっています。(昭和21年発表)ちなみに作品の舞台は昭和は12年。
この作品は金田一耕助のデビュー作という意味において重要なことはいうまでもありませんが、戦時中は当局の指導で探偵小説を書きたくても書けなかった横溝氏の、戦後、満を持して発表した最初の本格派探偵小説が『本陣殺人事件』であり、日本の文壇において探偵小説が復活した!という意味でも非常に重要な作品です。まっ、以上のことを踏まえて、テレビ版の紹介をしたいと思います。


放映は1977年5月7日~5月21日までの都合3回。


出演(古谷一行以外)
淡島千景
佐藤慶
荻島真一
内藤武敏
長門勇

監督
蔵原惟繕

音楽
真鍋理一郎


 原作は戦前が舞台となっていますが、本放送での舞台はなぜか戦後という設定となっております。(具体的な年は語られていない)
岡山県の旧本陣『一柳家』。その当主『賢蔵』の婚礼の晩、賢蔵と花婿『克子』は密室状態の離れで死体となって発見されます。しかも雪で覆われた地面には犯人が逃走した足跡ひとつなかったという、所謂“密室”ものです。
新婦(克子)の幼なじみでもあり、養父 銀造とともに結婚式に列なった金田一はすぐさま捜査を開始。でまぁ、いろいろあって・・・やがて事件は金田一の推理により意外な結末を迎えます。

 実は私がこの作品の中で一番評価するのは、映像の出来というよりは音楽の方なんですね。特に自宅での結婚式が終わり、新郎新婦が離れに引き上げる際、雪の降る中を傘をさして歩いているシーン。この時、バックで流れる音楽が私的には一番のお気に入りです。
琴がメロディを奏で、モノ・シンセの裏メロが絡む。その後ろではアナログシンセの“ミャ~”と猫みたいな気持ちの悪いバッキング。なんともミステリアスで叙情的で大変結構な仕上がり。ネタバレになるので詳しく書けませんが、この話の中では“琴”が大変重要なキーワードになっていて、音楽にもそれがめちゃんこ取り入れられております。それ以外の曲もバラエティに富んでいて、それでいてドラマの雰囲気にピッタリとマッチしていて、“いい仕事”をしているなあと。

 で、ひとつ言っておきたいのは、ドラマの中で賢蔵の母で未亡人の糸、その糸の義理の弟伊兵衛とのみちならぬ関係を描写していますが、これは原作にはないドラマオリジナルな演出。
“たぶん”というか、私の個人的な見解ですが・・・脚本家は原作そのままだと、犯行の理由としては“ちょっと弱い”と思ったのかもしれません。今どきの連中には理解できない理由だろうって。で、こういう話をオリジナルで盛り込んだのではないのかしら。
でも、私的にその部分は、

 

要らねぇなぁ。

 

とちょとだけ思います。

 

あと、このことも書いとかなきゃってのは、ドラマではこの『本陣殺人事件』から例の『日和警部』がデビューをします。『犬神家の一族』の時にも書きましたが、日和警部って言う警察官はどの原作の中にも登場しません。しかし、この人の存在はアリだと思います。そこらへんがカタギの方には理解出来ない、マニアならではのカルトQ(古!)なのかもしれません。

 とまぁ、まだまだ書きたいことはあるんですが、詳しくはDVDを買うなり、ビデオを借りるなりしてご自身の目で判断して下さい。

 

というわけで、次回は『三つ首塔』です。お楽しみに(?)なのである。それでは皆さん、バイナラ。

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