おっさん天国 物欲の泉

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真珠郎

 

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次、いきます。『真珠郎』です。

 

放映
1978年5月13日から5月27日までの全3回

出演(古谷一行以外)
原田大二郎
中山仁
大谷直子
加藤嘉
岡田英次


監督
大洲齋

音楽
真鍋理一郎


あらすじ

 城北大学の講師『椎名肇』は同僚の『乙骨三四郎』に誘われ、信州浅間山麓に休暇で出掛けた。
宿泊先は元生物学者『鵜藤』氏の屋敷。鵜藤氏は今は半身不随で、同居している美しい姪『由美』に世話をしてもらっていた。
 そんなある晩、椎名と乙骨は鵜藤氏の屋敷で絶世の美少年『真珠郎』を目撃する。真珠郎は鵜藤氏がかつての恨みを晴らすために密かに養育をした殺人マシーンであった。
 そして浅間の山が噴火したその日。真珠郎は遂に野に放たれた。皮肉にも、その第一の被害者は鵜藤氏自身だったのである。そして真珠郎はその美しい顔立ちからは想像も出来ない残酷な方法で次々と殺人を重ねていくのである・・・

 


私情インプレッション

 まず予め言ってきますと、この『真珠郎』。原作では金田一耕助は登場しません。すなわち、横溝正史のもうひとり名探偵、『由利燐太郎』ものです。
 それと余談なんですが、原作では舞台は戦前、ドラマでは昭和23年となっています。まあどうでもいいことかもしれませんが。
 細かなことをもう一丁。原田大二郎演じる『椎名肇』は、原作では『椎名耕助』となっています。横溝氏はこの『椎名』という苗字、並びに『耕~』という名前が好きらしく、氏のその他の作品でもよく使われています。このドラマで椎名『耕助』→『肇』になったのは金田一耕助とタブるからであると思われます。


 意外に思う人がいるかもしれませんが、私はこの『真珠郎』は案外好きな作品なんですね、原作もドラマの方も。横溝正史が戦前書いた作品の中で一番の傑作だと思います。いろんな意味で映像化が難しい作品だとは思うのですが、その点このドラマは原作の持つ妖しさ、なまめかしさ、おどろおどろしさを上手に表現してます。『横溝正史シリーズⅡ』全9話の中でも『●×△□』の次によいデキです。
 音楽はこの後の作品との共用ですが、この作品にうまくマッチした使い方をしています。特にタイトルバックの重~~いストリングス系のサウンド(チェロか?)&オカリナ(?)の気持ち悪~いハーモニーが秀逸。

 

 『真珠郎』はかつてテレ朝系列の2時間ものとして放映されたことがり、この時も原作には登場しない田一耕助が登場するわけですが、その金田一耕助を『小野寺昭』が演じてます。しかも椎名の役を金田一にやらせてしまおうという2時間スペシャルものならではの省エネ設計。悪くはないんですが、かといって良いわけでもないんですよねえ。そもそも金田一役が小野寺昭っていうがなんとも・・・

 

 

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なにしろ『殿下』ですから。でも、音楽は凄くいいです。ストリングスを使った胃袋が重~~くなるようなメロディはかなりいいです。でもまぁ、こちらはソフト化されてないし、たまにスカパーで再放送されるくらいだから、カタギの方には全然縁のない話かもしれません。


 そう言ってはなんですが、横溝正史シリーズはパート1の方で横溝氏の代表作はやりつくした感があります。
以降、パートⅡではそれ以外の佳作的な作品をやらざるを得なかったんですね。それとこれは私の想像なんですけど、予算とかそっちの方でも相当制約があったんじゃないかと。そんな中でこの『真珠郎』は、なかなかのデキだとは思います。見て損はないと思いますね、あくまでもマニア限定のお話ではってところはありますが。そんな感じで今回の投稿はおしまいです。お付き合いいただきありがとうございました。