おっさん天国 物欲の泉

日々物欲にまみれ、煩悩の海に溺れて暮らすおっさんがおススメしたい、あんな物・こんな事をご紹介いたします。

女王蜂

 

 なんだかもう気が重くなるような横溝正史シリーズⅡのがっくり4部作の2番目『女王蜂』です。嫌なら書かなきゃいいジャン!って思うかもしれませんが、始めちゃった以上、最後までやらねばという妙な責任感から今後もレビューを続ける所存であります。お付き合いのほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

放映
1978年8月12日から8月26日までの全3回

出演
岡田茉莉子
片平なぎさ
夏夕介
神山繁
赤塚真人
南美江
坂東正之助

監督富本壮吉

音楽
真鍋理一郎

 

あらすじ
面倒なんで今回もDVDの紹介文をまんま拝借。とはいえ書き写すのはかなりかったるい。

伊豆・下田の遥か南方に位置する月琴島。ここには源頼朝と深い関係にあった女性・大道寺多衣が頼朝の妻・政子の嫉妬を恐れこの島に隠遁したという伝説が残る。また島には居を構える多衣の子孫の大道寺一族には、愛し合った者は決して結ばれず不幸な死に方をするという、政子の呪いとも受け取れる恐ろしい言い伝えが今も生きている。現に同家の一人娘の智子もその言い伝え通りに両親を亡くしていた。智子を娘として迎えたいと願う東京の実業家・速水欣造の依頼を受けた金田一は速水家の一家と月琴島に渡るが、そこに待っていたのは「智子よ島に留まれ」という何者かの警告文だった。しかも警告文は「智子は恐ろしい“女王蜂”で、近づく男たちは全員死に至る」と告げる。そしてその言葉通りに、智子を愛した男たちが次々と無残な死を遂げていった・・・

 

私情インプレッション


犯人及びおおまかなストーリー展開は原作に沿ったものですが、それ以外のディテールにはかなりアレンジが施されいます。でもそもそもこの『女王蜂』って、原作が『悪魔が来たりて笛を吹く』と同じくらいのボリュームがあります。文庫本でいうと厚さが1.5cmくらいのかなりの大作。
『悪魔~』はそれを全5回に分けて丁寧に作っていますが、女王蜂は同じくらいのボリュームがありながら、『真珠郎』と同じ全3回の放送でやろうってのは、そもそもかなり無理があるんじゃないでしょうか?
 すごくおかしいのは、この次の次でやる予定の『仮面劇場』は原作が女王蜂の半分程度の長さであるのにもかかわらず、こちらは全4回の放送。かたや必要以上に短く、かたや無駄に長い。従って両作品ともそこにかなりの無理が生じていることは言うまでもありません。
 ちなみに次の次の次で放送された『迷路荘の惨劇』も原作は本作と同じくらいの長さ。にもかかわらず放送は同じ全3回。今さら言っても仕方がないことではありますが、放送する作品をよく選んで、ひとつひとつをもっと丁寧に、原作に忠実に作るべきだったんじゃないかと。
パート2がパート1に比べて評判がよくないのは、結局突き詰めていうとそのあたりに原因があるんぢゃぁないかと。粗製乱造ぢゃぁないかと。40年以上経ってから気が付きました。

 

ε=┏(; ̄▽ ̄)┛



それを言っちゃあおしまいよってことですけど、個人的には『仮面劇場』なんてやらなくてもよかったと思います。その分の予算と時間を他のガックリ作品に振り分ければ、それぞれがもっといい作品に仕上がったんじゃないかと思うのは私だけでしょうか。

 つまり、上記の理由によるしわ寄せで女王蜂はツッコミどころ満載のダメダメ作品に仕上がってます。せっかくいい俳優さんを使っているのにまったくもったいない。
あとネタバレになりそうなんで、あんまり詳しくは書けないんですけど、どうでもいいけど、

 

多門連太郎を殺すんじゃねぇよ!

 

九鬼老人を勝手に省くなよ!


 この二点は声を大にして言っておきたいです。なぜなら原作において、この二人は事件の鍵を握る大変重要なキーマンだから。嗚呼、詳しく書けないことがもどかしい。
 あと、もうひとつ指摘しなければならないことがあります。パート2の音楽はシリーズ共用の使い回しだって書いたことがあると思いますが、この女王蜂に関して言うと、それらをやたらめったらとかけまくっていて、

 

 

ガシャガシャうるせぇんだよ。

 

 

と。そうでなくてもダメダメなのに。見ていて本当にイライラします。
まっ、そんな作品ですよ。私ハッキリ言ってオススメできません。

 

この女王蜂。映画を含め何度も映像化されています。一番いいのはだいぶ前にフジテレビ系列で放映された『稲垣金田一』版だと思います。

 

 

youtu.be


惜しむらくは稲〇吾〇氏の演技が学芸会なみのダイコンであることと、放送時間の関係で最後の謎解きのあたりがちょっとハショッた感じになってしまったという二点。あとは原作にも忠実でテレビにしては出演者、セット等も含めて、凄く丁寧に作ってあります。あと『口紅にミステリー!』のコマーシャルが印象的だった映画版もなかなか。

 

youtu.be


原作を若干アレンジはしてあるものの、この程度なら、

 

 

セーフ!です。

 

 

そうそう!ひとつ皆さんに気を付けていただきたいのは、1994年にTBS系で放映されたスペシャル版、いわゆる古谷金田一の2時間もの。世の中がVHS→DVD→BD、そしてインターネットでの配信という時代にあっては、まず目にする恐れはないと思われますが、念のため忠告しておきます。これはもはや、

 

 

見てはいけない!

 

 

作品だと思います。まぁこの作品に限らず、TBS系の古谷金田一2時間ものはハズレが多いですね。

最後に総合評価

★★☆☆☆
星二つ

 

ホントは星ひとつでもよかったのですが、片平なぎささんの美しさに免じて、オマケをしておきます。

 

 

 

 

 

女王蜂

女王蜂

  • 石坂浩二
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