おっさん天国 物欲の泉

日々物欲にまみれ、煩悩の海に溺れて暮らすおっさんがおススメしたい、あんな物・こんな事をご紹介いたします。

蒼いけものたち

 

横溝正史シリーズⅡについてやってる途中ではありますが、今回は番外編みたいな感じで、違った角度から実写化した作品を論じてみたいと思います。

ちなみにこれを書いたのは2010年のことですから、もう13年も前のことなんですね。なんつうかまぁ・・・とにかくお付き合いいただければ幸いです。


 

 だいぶ前にスカパーのファミリーチャンネルで放映され、DVDに録画しておいた『蒼いけものたち』って古〜い連続ドラマを久しぶりに見ることにしました。
蒼いけものたち・・・と言ってもカタギの方はもちろん、そっち系でも相当なマニアでもなければ「なんだそりゃ?」っていうこのドラマ。 この蒼いけものたちってのは、要するに横溝正史原作の『犬神家の一族』なんです。
 なんでこのドラマの存在を知ったかというと、これはもう神の啓示というのか、はたまたただの偶然というのか・・・5年くらい前(2010年の時点で)、たまたまスカパーのチャンネルをあてもなくアレコレ回していたところ、妙に古いドラマをやってて、「なんだこりゃ?」としばらく見ていたら、なんだかどこかで見たようなストーリー展開。
「こりゃあ犬神家の一族ぢゃあないか!!!」と気付いた瞬間、「どうせスカパーだから再放送をやるんだろう。」とソッコーで番組本を買い求め、案の定再放送されたものを録画して半永久保存したという次第であります。


 ではこのドラマの細かな部分の解説をしてみようと思います。まず原作との一番大きな違いは、原作が昭和20年代の信州が舞台なのに対し、このドラマでは昭和40年代の東京近郊の新興住宅地となっていること。これがミソです。よって原作が犬神製薬の莫大な遺産相続をめぐってという話に対して、東京近郊の土地成金の死後相続が云々・・・となっています。 あと原作でキーマン(キーウーマン?)の珠世(たまよ)は、酒井和歌子演じるOL『水川美矢子』に変更。

 

 

また、この『水川美矢子』には小学生の肥満児の弟『たけし』ちゃんがおり、両親のいない二人は東京のボロアパートに一緒に住んでいる。

 

 

 ある日その二人の前に、二枚目中山仁が演じる弁護士『館野』が、「遺産相続の件で・・・」とコテコテ&お約束な登場。

 

 

で、ここからの展開は大まかには『犬神の一族』の同じ。

 

 このドラマには、当たり前ですが金田一耕助は登場しません。そういう超人的な探偵が一挙に事件を解決するというより、なんとな〜く事件が展開し、犯人の自白で事件がなんとな〜く解決します。
で、見てて思ったのは、事件の展開がどうこうっていうより、ただひたすら主役の酒井和歌子にスポットをあてたかっただけの番組だったんじゃないかと。酒井和歌子の主演による、酒井和歌子為だけのドラマ、そんな感じがします。

 


 さて、ネットで調べたところ、放送は昭和45年8月29日から同年9月29日までの全6回となっています。そうすると、例のたけしちゃんも生きていれば、もう50くらいになってるわけ(しつこいようですが、あくまでも2010年当時)。あらあら。

 

 私、このドラマを最初から最後まで通して見て、正直いい意味で驚きました。ぶっちゃけいろいろツッコミどころはあります。特に台詞の言い回しなんて、いかにも70年代的で、見ていてブルッと身震いするほどです。でも、話のおおまかな展開はほぼ原作に近いものだし、当時は横溝正史にとっては冬の時代だったことを考えると、そんなに酷くはないなと思います。例えていうなら、クラシックの名曲を今風(とは言っても昭和40年代)にアレンジしたようなものじゃなかと。
 少なくとも、何年か前に放映された、TBSの2時間もの『神隠し真珠郎』よりも100万倍いいと個人的には思います。あれはホントに酷かったです。どのくらいひどかったかっていうと、この私が途中で見るのを止め、録画していたビデオもストップしたくらい。
 とかなんとか書いてて、「そういやぁ、最近、横溝ものをテレビでやってないなぁ。」と気づきました。このブログでアレコレ難癖つけてるから・・・じゃあないとは思いますが(思いたい)、時代がそういうのを求めていないのかなぁって気がして、なんだか寂しいなぁって思います。

 

 


おまけの画像↓

 

富岡家の意地悪三姉妹


顔に傷を負った清文はマスクを着けて・・・頼む、あまり笑わせないでくれ。

 

なんつうか、昭和ですなぁ。